INPUT
社会契約論
ルソーの「社会契約論」は、政治を「力」や「伝統」ではなく、人びとの合意から組み立て直す本です。結論の核はネタバレ込みで言うと、正当な国家とは、各人が自分の自然な自由の一部を共同体に託し、その代わりに市民としての自由と安全を得る契約によって成立する、ということ。主権は人民にあり、譲渡も分割もできない。政治の正しさは「一般意志」によって測られ、法律は一般意志の表現であるべきだ、と断言します。
この本の面白さは、民主主義を甘い理想ではなく、厳しい技術として描く点です。一般意志は単なる多数決や世論とは違い、共同の利益を狙う意志でなければならない。だからこそ、派閥や私益が強すぎると共同体は壊れるし、立法の設計、宗教や道徳の扱い、非常時の権限など、現実政治の難所まで踏み込んで議論します。自由を守るために、私たちはどこまで自分を縛る必要があるのか、その境界線を最後まで追い詰める本です。
オススメなのは、民主主義にモヤモヤしている人、選挙や多数決に納得できない人、国家や法律の正当性を根っこから考えたい人。政治思想の古典を一冊で掴みたい人にも向きます。
素晴らしいのは、国家を「みんなのもの」にするための論理の鋭さです。権力者の善意に頼らず、制度の正当性を人民の側から立て直す。その結果、自由と服従、個人と共同体という永遠の矛盾を、逃げずに直視させてくれます。読み終えると、政治のニュースが「誰の意志で、誰の利益のために動いているのか」という問いに変わります。
本の概要まとめさんが作成
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